天野社会保険労務士事務所は大阪府 高槻市の社労士事務所。働き方を見直し、仕事と生活の調和を図る「ワーク・ライフ・バランス」を推進しています。

従業員定着と共同体感覚

最近、社員の定着についてのご相談が多く、実際に職場でヒアリングや
キャリアカウンセリングをして対応することがあります。

絶対的にこうしたらよくなるという方法があるわけではありませんが、
比較的よい効果が得られやすい考え方について、今回、お伝えします。
その考え方は、アドラー心理学の「共同体感覚」というものです。

○共同体感覚とは
アドラー心理学においての重要な考え方の1つで、家族や職場などの中で
「自分はその一員である」という感覚を持っていることです。
具体的には、以下の3つの感覚が高い状態と言われています。

①自分は役に立っている(自己信頼、自己受容)
②周囲の人は自分を助けてくれる(他者信頼)
③自分には居場所がある(所属感)

職場において、この3項目を感じることができていれば、
定着することはもちろん、高いパフォーマンスを発揮することになります。

このことは、マサチューセッツ工科大学のダニエル・キム教授が提唱している
「組織の成功循環サイクル」とも繋がります。



成功循環サイクルのグッドサイクルがまわるということは、
上記の3項目を満たしていることになります。

この3項目を高めていくことは、あくまで個人がやることですが、
会社や上司のアプローチにより促進することができます。
最近は、この内容についての管理職研修も増えてきました。

具体的な取り組み例などについて、また追ってご紹介
できればと思っています。

アドラー心理学と人材育成

昨年末頃からアドラー心理学を学び直しています。
アドラー心理学とは、フロイト、ユングと並び「心理学の3大巨頭」と
呼ばれるアドラーが提唱した理論をまとめたものです。

アドラー心理学の特徴をひと言でまとめると
「困難を克服する活力を与える」ものだと思います。

このことを人事・労務分野、特に人材育成に応用しています。
今までも多くの企業研修等でアドラー心理学の内容を使ってきましたが、
改めて体系的に学び直し、内容をブラッシュアップしています。

先月、その一貫として「アドラー流メンタルトレーナー」の資格も
取得しました。
知識も大事ですが、実際にアドラー心理学を実践している仲間が
たくさんいるので、より実践的なことを今後も学んでいきたいと
考えています。

社会保険適用拡大101人以上の企業はご準備を!

コロナ禍において、様々な対応を迫られている企業が多いと思いますが、
現在、社会保険に加入している従業員が101人以上いる規模の企業は
社会保険の適用拡大(週20時間以上)に備える必要があります。

コロナ禍の昨年5月に法改正があり、社会保険の適用が週30時間から
20時間に拡大される企業の規模が、現在の501人以上から101人以上
まで大幅に広がります。

ここでいう従業員数は、現在社会保険に加入している従業員数と
置き換えていただいて、ほぼ間違いありません。
(フルタイムおよびフルタイムの3/4以上の労働時間の従業員)

それであれば、対象になるという企業は準備を急ぐ必要があります。
この改正の適用時期は2022年10月で、あと1年半強しかありません。

さらに、2024年10月からは、この「従業員数101人」が50人に
まで下がります。51人となると、かなり多くの企業が該当していることと
思われます。

厚労省は、今月、ポータルサイトを開設し、法改正内容の周知に
乗り出しました。まずは、このサイトをご覧いただき、情報を
整理することからはじめてください。
社会保険適用拡大 特設サイト|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

多くの企業に影響がある改正なので、弊所も社労士として、各企業の
ご相談に応じされるよう準備していきたいと思います。

 

従業員シェアと産業雇用安定助成金(新設)

○従業員シェアとは
「従業員シェア」とは、コロナ禍の影響などの一時的な経済停滞によって
人材に余剰が生じた企業が、人手が必要な企業に自社の従業員を在籍型出向と
いう形で送り出し、人材を「シェア」することをいいます。

従業員の雇用の維持に課題を抱える企業と、一時的に人手不足に陥っている
企業が協業して労働力をシェアすることにより、送り出す側は賃金支払いの
負担を軽減させることができ、受け入れる側は継続雇用のリスクなく人材を
確保できるというメリットがあります。

最近では、大手企業間での従業員シェアがニュースになっているほか、
食品デリバリー企業でも積極的に活用されているようです。

○在籍型出向とは
まず、出向とは労働者が出向元企業と何らかの関係を保ちながら、
出向先企業と新たな雇用契約関係を結び、一定期間継続して勤務する
ことをいいます。このうち「在籍型出向」は、出向元企業と出向先企業
との間の出向契約によって、労働者が出向元企業と出向先企業の両方と
雇用契約を結ぶものをいいます。



厚労省は、コロナ禍の影響を強く受けている業種の雇用維持の手段として、
この在籍型出向を積極的に進めていきたい考えです。
そのため、2021年度に在籍型出向を行う企業にその費用等を補助する
「産業雇用安定助成金」を新設します。
https://www.mhlw.go.jp/content/000733293.pdf

○産業雇用安定助成金の特徴
この助成金は、出向元、出向先の双方に支給されるという特徴を持ちます。
また、支給率が中小企業の場合、9/10となるため、雇調金の特例措置が
終了した後の雇用維持の切り札となります。
(雇調金の支給率は、2/3に戻る見込み)

いざ出向を行おうと思うと初期費用が掛かることも想定されることから、
この助成金は初期費用の助成も行います。
中長期的な視点で、雇用維持や従業員の育成を考えると、従業員シェアという
手法は大きな意味を持つかもしれません。

○人材育成の観点も
「シェア」と聞くと、少しネガティブなイメージも持たれるかもしれませんが、
他業種での勤務から学んだことを自社の業務に活かせることもあると
思われます。
副業が推進される雰囲気も醸成されつつあるので、柔軟な働き方、働かせ方の
1つとして検討してみてはいかがでしょうか。

「やめる理由」を減らす対策では限界

弊所には人手不足や社員が定着しないというご相談が多くよせられます。
 ・求人を出してもなかなか応募がない
 ・採用したけど、なかなか育成が難しい
 ・苦労して採用したけどすぐに辞めてしまう

結局、人員確保ができず、残った人材が長時間労働でしのいでいる。
そんな状況にある企業は、このコロナ禍でも少なくありません。

特に、社員の定着や育成に関するご相談は、年々増えています。
社員を定着させ、戦力化していくために必要なことはなんでしょうか?

以前は、「やめる理由」を調べて、その理由をなくすことに注力していました。
もちろん、今も「やめる理由」、つまりその会社で良くないところを改善する
ことは必要だと思います。ただ、これだけでは離職は防げないと思います。

弊所で社員定着などのご支援をする企業には、
「やめる理由」をなくすより、「続ける理由」をつくる
ことをアドバイスしています。

この会社で働く意義、みたいなものでしょうか。
いわゆる「いい人材」は、どこの企業でも選ぶことが可能な時代です。
そのなかで、その企業で働き続けることには、積極的な理由があります。
「私は、○○だから、この企業で働く」という理由です。

この視点がないと、いくら離職理由を1つ1つ潰していってもいい人材を
定着させておくことは難しい。
「悪くない」という状況では、物足りないんです。
「ここがいい」というものが必要。

社員定着に困っている企業は、ぜひ、「うちの会社は、○○がある」という
続ける理由を打ち出せるようにしてください。


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