イクボスが会社を社会を強くする!
2014年11月17日 大阪の堺市の市町が「イクボス宣言」をしたことが
ニュースになっていました。
最近、ニュースや雑誌等でも目にするようになった「イクボス」とはなんでしょうか。
そして、なぜ、イクボスが注目されているのでしょうか。
イクボスの話しの前に、イクメンや男性の育児休業の面から見ていきましょう。
1.個人の考え方も国の制度も変わってきた
私は、NPO法人ファザーリングジャパンという父親の育児支援などを行う
NPO法人で活動していますが、その活動を通して、男性の育児や家事に
対する考え方は、変わってきたと感じています。
厚労省の雇用均等基本調査では男性の育児休業取得希望者が約3割に
達しており、民間の調査では5割以上の値が出ることも珍しくありません。
育児休業を取りたいと思っている男性が多いのに、 取得率は約2%に低迷しています。
一方、国も頑張っています。
「女性の活躍推進」には「男性の家庭進出」が並行して進むことが求められ、
政府の資料を見ても「男性」に向けた施策は少なくありません。
育児休業給付金が増額され、しかも父と母が別々に取った方が有利になる
個別給付の考え方が強く反映された内容に変わってきました。
個人の意識も国の制度も変わってきたのに男性の育休取得率が
上がっていくような動きは見られません。
2.育児休業取得が進まない理由は
では、なぜ育児休業取得が進まないのか。
制度に対する知識不足という側面があることは否めません。
私は行政からのご依頼で、市民向けにワークライフバランス等のテーマで
講演する機会がありますが、育児休業制度について正確な知識を持っている
パパ、ママは多くありません。
必要な情報が必要な人に届いていないもどかしさを感じますが、理由は
これだけではないと感じています。
育児休業を取りたいのに取っていない人にその理由を尋ねると・・・
・職場に迷惑が掛かる
・男性の育児休業取得の前例がない
・評価が下がるのが怖い
・戻る場がなくなっていそう
つまり、職場の理解が得られず、迷惑を掛けたり、不利益を被ることが
理由になっていると考えられます。
この意識を変えていかなければ、制度を良くしても育児休業取得者は増えません。
3.経営者の理解は進んでいる。問題は・・
経営者の方々とお話していると、長時間労働問題や少子化問題に対して理解が
あり、自分の会社ではいろいろな取り組みをしているという方は少なくありません。
経営者レベルでは、理解が進んでいるというのが実感です。
現実、経営者が職場(現場)に近く接している中小企業の方が、育児休業取得率は
高いという調査結果も出ています。
本人の希望もあり、トップの理解もあるのに進まない。
問題の根幹は、管理職層にあると考えられます。
自分のチームで短期間に業績を上げないと今後の出世に影響するという考え方が
強い管理職では、男性の育児休業は最大の弊害です。
普段から社員に接している管理職の態度は、直接、子育て世代社員の行動に影響を
及ぼすため、管理職次第で育休取得率が変動するのです。
この問題を解決すべく、NPO法人ファザーリングジャパンでは、
「イクボスプロジェクト」を立ち上げています。http://fathering.jp/
イクボスとは・・
職場でともに働く部下・スタッフのワークライフバランスを考え、
その人のキャリアと人生を応援しながら、組織の業績も結果を出しつつ、
自らも仕事と私生活を楽しむことができる上司(経営者・管理職)のことです。
すでに、各行政、企業からの講演、セミナーのご依頼が続いています。
多くの職場でイクボスが増え、会社が強くなり、社会が変わっていくことに期待しています。