パワハラ防止とアンガーマネジメント
2020年6月1日からパワーハラスメント防止措置が義務化されるなど、
ハラスメントにかかわる法律が施行、改正されました。
今回、パワハラだけでなく、男女雇用機会均等法、育児・介護休業法も併せて
改正され、セクハラ、パタハラ、ケアハラなど妊娠・出産・育児休業、
介護休業等に関するハラスメントの防止対策も強化されることになりました。
パワハラ防止法が成立した背景の1つは、それだけ問題が生じているからです。
厚労省に寄せられたいじめ・嫌がらせの相談は、8万件以上にのぼり、
右肩上がりの増加です。解雇や賃金に関する相談よりもはるかに多く、
最も問題視されている労務トラブルと言えます。
○パワハラが発生する原因
主に次の3つが考えられます。
①パワハラについて無知であること
②人権意識が低いこと
③感情のコントロールができないこと
このうち、①の無知については、法的な知識の研修を行うなどの対応が
考えられます。
②の人権意識も研修等を通じて、適切な啓発活動を長い期間にわたり継続して
いることが求められます。
そして、③の感情のコントロールこそ、パワハラ防止の上でもっとも大切な
ことと言えます。
なぜなら、パワハラの行為者は、頭では「パワハラがいけないこと」と
分かっているケースが少なくないからです。
しかし、頭で分かっていても感情をコントロールすることができないため、
パワハラを行ってしまいます。
○アンガーマネジメントとハラスメント防止
アンガーマネジメントは、感情をコントロールできるという大前提に立って
います。自分のコアビリーフや怒りのメカニズムを知り、自分の思考を
コントロールできるようになります。
自分の感情と上手に付き合うことで、他者の価値観も受け入れることができる
ようになります。このことは人権尊重にもなり、パワハラ防止に繋がります。
このように考え、私は日本アンガーマネジメント協会の
「アンガーマネジメントハラスメント防止アドバイザー」の資格を
取得しました。
「こういうことはパワハラだからしてはいけない」とNGリストを作成し、
徹底するだけのパワハラ対策ではなく、根本から職場のコミュニケーションを
見直し、パワハラを防止していくことを目指していきたいと思います。